マンションを防音室にする工事のメリット・デメリットは?注意点も解説!
平成30年度に公表された国土交通省の調べによると、マンション居住者間のマナーをめぐるトラブルの内容では生活音が38.0%と最も多くなっていました。
およそ5年毎に実施されている調査ですが、生活音を巡るトラブルは現在でも続いている悩みの種です。
マンションにおける騒音問題は防音室を作ることで大きく緩和できます。
防音工事について解説していますのでぜひご覧ください。
参考:平成30年度マンション総合調査結果からみたマンション居住と管理の現状より
目次
防音における4つの意味
正しい防音を行うためにはそれぞれの違いを知り、適切な方法を取ることが必要です。
「遮音」「吸音」「防振」「制振」について見ていきましょう。
遮音の意味
遮音とは空気中を伝搬する音波を遮ることで、遮音材に音波が入射すると一部が反射され、残りは吸収、透過することで減衰します。
外へ漏れる音が小さいほど遮音性が高いものとされ、同一の材料でも二重窓など間隔をとって二重構造にすると大きく効果が増します。
吸音の意味
吸音とは素材に音が通過する際、音が摩擦による熱に変換されて減衰する現象です。
リフォームにおいてはグラスウールやロックウール、フェルト、石綿板などが吸音材として使われることが多く、音を吸収することで防音効果を高めています。
防振の意味
防振とは構造物や機器に振動や衝撃が行き渡るのを防ぐことです。
物を伝わって聞こえる固体伝搬音では壁や床・天井などを振動させて音を発生させ、空気音と違い大きく減衰することがありません。
離れた部屋にも音が伝わることがあるため、振動している機械に弾性体を使って外部と絶縁します。
制振の意味
制振とは振動を抑えることで音を無くすことです。
制振材にはゴムや鉛のシートが使用されており、エネルギーを吸収し振動を抑えて音の発生を抑制します。
マンションのリノベーションについては「マンションリノベーションのメリットとデメリットとは?詳しく解説!」をご覧ください。
防音室の種類
防音室の種類は防音工事をするか、ユニット式かの2種類に分けられます。
防音工事
予算に合わせ防音工事を床・天井・壁・窓などに行うことで防音機能を高めます。
部屋の形状に関わらずニーズに合った設計ができ、インテリアとしての自由度も高いです。
トラブルが発生する可能性も低いですが、ユニット式のものと比べ費用が高くなる可能性があります。
ユニット式
ユニット式(組み立て式)は大きな箱状の防音室を設置します。
箱を設置するだけなので手軽に導入でき、賃貸マンションでリフォームが難しい場合でも取り入れられますが、部屋が狭くなってしまうことを念頭に入れると良いでしょう。
防音性能は種類によって異なりますが、一般的な製品であれば楽器の音などもかなり抑えられます。
防音工事・ユニット式のメリット・デメリット
防音工事といっても場所によってリフォーム方法は様々です。
それぞれのメリット・デメリットをみていきましょう。
窓を防音する工事のメリット・デメリット
二重窓や防音ガラスなどで屋外の騒音や室内の音漏れを抑制できることがメリットです。
共有部分であるマンションでは工事するための許可をとる必要があることがデメリットといえます。
壁を防音する工事のメリット・デメリット
壁に吸音材や遮音シートを施工することで壁からの反射を防ぎ、音が振動として外部に漏れないことが大きなメリットです。
ただ施工によって壁の厚みが増え部屋が少し狭くなることがデメリットといえます。
床を防音する工事のメリット・デメリット
衝撃を吸収する素材を使うことで足音や洗濯機などの振動音を抑制できることがメリットです。
隣人トラブルも起こりうるマンション生活では大いに役立ちますが、床の範囲や素材によって高額になる可能性があることがデメリットです。
部屋を丸ごと防音室にするメリット・デメリット
部屋を丸ごと防音室にするメリットは、部屋のスペースに合った防音機能を最大限高め、大きな防音効果が期待できるところでしょう。
デメリットは工事範囲が広くなることで費用も他と比べて跳ね上がることです。
ユニット式を設置するメリット・デメリット
組み立て式のため、工事期間が短いことや分解が可能なため引っ越し先でも利用できることがメリットです。
デメリットは遮音性能はあらかじめ決まっており、設置後にトラブルが発覚する可能性があることです。
分譲・賃貸による防音対策の違い
分譲マンション・賃貸マンションでは工事のできる範囲が異なるため、防音対策にも違いが生じます。
詳しく見ていきましょう。
分譲マンションでは専有部分の工事ができる
分譲マンションでは専有部分であればリフォームを行えます。
マンションの窓は共用部分のため、リフォームで取り換えられないことがほとんどですが、窓の内側にもう1枚内窓を設置する二重サッシの場合は対応できるケースもあります。
専有部分でも管理規約によってリフォームが難しい場合もあるため、事前に確認してから防音工事を検討すると良いでしょう。
賃貸マンションには原状回復義務がある
賃貸マンションには原則として原状回復義務があるため、勝手に工事を行なった場合には用法遵守義務に違反することになります。
たとえ有益な工事でも大家さんの許可が必要であることが前提なので、部屋を傷つけずにできる防音対策を行うと良いでしょう。
大家さんから許可さえあれば防音室を作ることは可能ですが、リフォーム費用だけでなく原状回復するための費用がかかります。
防音については「マンションの防音工事はどうしたらいい?防音対策・費用・注意点解説!」も併せてご覧ください。
業者に依頼する際の注意点
ここからは防音工事を業者に依頼する際の注意点を解説していきます。
見積価格だけで決めず総合的に選ぶ
防音機能を高めたい気持ちはあっても、依頼する業者を見積もり価格の安さだけで選んだ結果、期待した水準よりかなり低い防音性しか発揮されなかったということが報告されています。
防音工事の知識や実績を見て選ぶ
専門性のない一般の工務店やメーカーでは防音工事の知識や施工実績が少ないことがあるため、家から近かったり、有名な業者だったりするから依頼するのではなく、防音工事に特化した業者を選ぶことが重要です。
企業のホームページ内に防音工事に関しての記載があるか、施工例などが載っているかといった点も判断材料の一つですが、それだけで信頼性が高いとはいえません。
判断に困った際は複数の業者に問い合わせをし、対応や工事の内容、費用などといった点を比較することも良いでしょう。
アフターサポートも行なってくれる業者を選ぶ
工事が終わってすぐには問題が確認されなかったとしても、数日後に疑問な点が発生する可能性があるため、アフターサポートをしっかりと行ってくれる業者を選ぶことを推奨します。
多額の料金を払って防音工事を依頼した結果、思っていた水準以下の防音機能しか発揮されなかったケースは度々報告されており、理由として業者の専門性が低いことだけでなく、アフターサポートが備わってなかったことも考えられます。
料金のかかる分野だからこそ、サポート体制が整っているかどうかは重要項目です。
打ち合わせの際に要望を正しく伝える
業者への問い合わせが終わったあとは実際の建物や周辺の環境に関しての調査が必要です。
様々な条件によって防音工事に必要な内容が異なってくるため、現地での調査は重要になってきます。
打ち合わせも兼ねているため、工事の目的は何なのか、どういった音を防音したいのかといった要望を正しく伝えると良いでしょう。
部分的な防音リフォームで対応できる範囲なのか、場合によっては他の箇所の防音工事も必要になってくるかもしれません。
契約確定前に費用や工期など気になる点を聞いておく
契約確定前に必要となる費用や工期など、自分が気になる点を聞いておくと、思いがけないトラブルを避けられます。
費用は予算の範囲でまかなえるか?着工後はいつ頃完成するのか?日中の工事の始まりと終わりの時間帯は?などいくつか心配事があれば事前に聞くと良いでしょう。
まとめ
マンションを防音室にする工事のメリット・デメリットについての話でした。
建物の構造や範囲、用途に合った防音工事を行うことで防音機能は大きく向上するでしょう。
正しい防音工事を行なってもらうには専門的な知識や経験、実績を有する業者選びをすることが重要です。
ベストリノベーションでは専門性に優れたスタッフが在籍しており、経験、実績もあるため安心です。
マンションを防音室にする要望があればお気軽にお問い合わせください。